家系図

2/2
前へ
/30ページ
次へ
「それは珍しいことなんですか?」 「ああ。結婚自体が契約結婚のようなものだからな」 「ヴィルさん、これを見せに行きましょう」 「そうだな」    百合とヴィルジールは家系図を持ち、再び百合の家へ向った。明日はヴィルジールの誕生日。今日中に許しを得てサインをもらわなければ、消滅してしまう。  家へ着くと両親に家系図を見せる。 「ね、パパ。パパのご先祖様にヴァンパイアと結婚した人がいたの!」  父親は冷ややかな眼差しのままだ。 「お義父様。今は納得出来ないかもしれませんが、必ず百合さんを幸せにしますから! どうか許してください!」  ヴィルジールは突然床に両膝と両手を付き、土下座をする。 「ちょっと、ヴィルさん!」 「止めてくれ。そんなことをされても困る」 「じゃあ、私この家を出てく!」    頭の中で何かが切れた百合は感情のままにそう言った。 「百合!」  母親とヴィルジールは反応する。 「ごめんね、パパ、ママ。だけど、私もどうしても譲れない」 「百合……すまない」 「ヴィルさん、行こう」  2人は振り向かずに家を出て行った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加