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「それは珍しいことなんですか?」
「ああ。結婚自体が契約結婚のようなものだからな」
「ヴィルさん、これを見せに行きましょう」
「そうだな」
百合とヴィルジールは家系図を持ち、再び百合の家へ向った。明日はヴィルジールの誕生日。今日中に許しを得てサインをもらわなければ、消滅してしまう。
家へ着くと両親に家系図を見せる。
「ね、パパ。パパのご先祖様にヴァンパイアと結婚した人がいたの!」
父親は冷ややかな眼差しのままだ。
「お義父様。今は納得出来ないかもしれませんが、必ず百合さんを幸せにしますから! どうか許してください!」
ヴィルジールは突然床に両膝と両手を付き、土下座をする。
「ちょっと、ヴィルさん!」
「止めてくれ。そんなことをされても困る」
「じゃあ、私この家を出てく!」
頭の中で何かが切れた百合は感情のままにそう言った。
「百合!」
母親とヴィルジールは反応する。
「ごめんね、パパ、ママ。だけど、私もどうしても譲れない」
「百合……すまない」
「ヴィルさん、行こう」
2人は振り向かずに家を出て行った。
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