ゆがみ

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「だが、私はもっと百合を知りたい。百合の好きな人……邪魔だな」 「ヴィルジール様……」 「百合の好きな人を消すことは出来るか?」 「ええ……ですが。よろしいのですか?」 「ああ。それで百合が私のものになるのなら」  翌日学校へ行き部活へ行くと部長はげっそりとしていた。 「どうしたんですか?」 「それが……今朝から何かおかしいんだよ」 「体調でも悪いんですか?」 「いや……突然上から物が落ちて来たり、車にひかれそうになったり、今日はついてないのかな?」 「まさか……!」 「え?」 「あ、こっちの話です。あの、今日は帰らせてもらって良いですか? 行かなきゃいけない所があるんです」  百合は急いで館へ行くと勢いよく扉を開けた。 「ヴィルさん!」 「ん? 今日は早いな」 「部長に何かしましたか?」 「部長?」 「好きな人のことです!」 「ああ……気付いたのか」 「突然おかしなことが起き始めたって聞きました! 思い当たるのはこれくらいしかないじゃないですか!?」 「もう、こんなこと止めてください! じゃないと、!」  ヴィルはその言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。 「嫌いに……なる……だと?」 「はい!」 「分かった。危害は加えない。約束する」 「本当ですね?」 「ああ……だが……」
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