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怪しげな館
ある月夜の晩のこと。いつもの道を通って帰ろうとしていたものの家へたどり着けない。辺りは霧が立ちこめ視界が悪い。少女は気付くと真っ赤な薔薇の咲き乱れる館の前にいた。
――こんな所に館なんてあったかな?と不思議に思い、不気味さを感じながらも足を踏み入れた。重い扉を開けると明かりはあるものの薄暗く中は少し肌寒い。
人気を感じず、けれど、好奇心に負け部屋の奥の方へ進んで行くと棺が目に映る。棺に近寄ると眠っている人がいた。長身で痩せている体つきに青白い肌。髪は金色でまつ毛が長く鼻が高い。恐らく美しいだろう。
――瞳を開けたらきっと綺麗なんだろうな……。
そんなことを思いながら怪しげな美しさに見とれていると、少女の首にかけられたロザリオが光出す。その瞬間、彼は瞳を開け腕を伸ばしてロザリオを掴み、少女を引き寄せキスをした。
――え? 今何が起きたの? 一体どういうこと?!
「なっ、何するんですか?」
「君が……私の花嫁か……」
質問には答えずに、彼は美しい金色の瞳で少女を見つめ、微笑んだ。
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