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「こっちがその気がなくても、あっちが好きになってしまうケースが多過ぎる。
そうなったら、お前以外のメンバーは変に優しいから、突き放すのに時間がかかる。
翔は仕事が終われば、氷のような人間になる。
そこがお前のいい所で、でも、ユリアに言わせれば最悪な所らしい。
でも、この仕事に関して言えば、お前の性格は向いてるってこと。
特に、超VIPのクライアントだ。
翔しかいないし、翔しかできない」
翔は褒められているのか、けなされているのかよく分からなかった。ユリアに言わせればっていうのが余計だった気がする。ユリヤとはここのメンバーの唯一の女性だ。見た目はか弱そうに見えるけど、かなりのやり手で隙のない仕事人だった。
翔は渋々この仕事を引き受けた。
考えようによっては、たったの一週間程度で相当な額の報酬だし、条件として、その仕事以降はしばらくの休みを唐澤に突きつけた。
大人の色気をプンプン匂わすクールでダンディ過ぎる唐澤が、子供のような笑顔で頷いた。
男には全く興味のない翔だって、こんな唐澤のギャップに少しだけときめいてしまう。
多分、これを武器に、散々な仕事をやってきたのだろう。
翔は鼻で笑いながら、自分のいた場所へ戻った。
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