足掻き

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足掻き

自分の価値を高めることは他の誰かの価値・存在を否定すること。それに気づいた俺はまだ愚かにも歩みを止めることはない。心優しき父と笑顔が絶えない母のもとに生まれた俺はあまりにも何も持っていなかった。優れた運動能力、頭脳。独創的な想像(創造)力や圧倒的計算力・暗記力、世の中で『才能』と称されるものは俺に初期装備として搭載されてなかった。そんな俺は「捨てられるゴミ」当然だった。だが、このままではいけないと中学校に進学するタイミングで自分を変えるための努力を可能な限りした。その結果、俺は表面上進歩した。そして俺は激しい環境の変化、周りの期待という重圧、自分の理想と自分自身を掴んで離さない現実との差異はゴミを燃えカスにするのにあまりにも足り過ぎた要因だった。俺は鬱になった。進歩したはずの自分という亡骸を背負い、傷つき今にも壊れそうな水晶を大事に抱え俺は歩み続けた。俺はもうボロボロだ。だけど、それでも歩み続けなればいけない。俺が歓声を浴びていたとき、悲劇の最中にいた人がいた。俺が嬉し涙を流しているときに、悲し涙を流していた人がいた。俺の成功は多くの人の悲しみ・後悔・嘆き・憂いの、屍の上に成り立っている。だからこそ、俺は立ち止まってはいけない。俺が多くの人の人生を台無しにし、これまで生きてきた。俺の人生は単に俺だけの人生ではない。未練を俺は預かっている。彼らの上に俺は生かされている。罵られてをおられようと、甘美な夢を与えられても、自分の足で進み続けないといけない。足掻きもがいて生きていかないといけない。だから俺は……
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