満月のトモダチ

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カーテンの隙間から射し込む朝日で目を覚ました。僕はいつの間にか家に帰ってきていた。昨晩のことは全て夢だったのだろうか。僕はいつもより少し早く家を出た。 まだうっすらと月が見える。もしかしたら、まだいるかもしれない。僕は淡い期待を抱いて中庭へ向かった。しかし、そこには誰もいなかった。その代わり、ベンチにはコーヒーの缶とコーラのペットボトルが、寄り添うように残されていた。 夢じゃなかった……。僕がミヅキと過ごした時間は、確かに存在していた。 僕は今日も1人だ。空気のように過ごす1日が、今日も始まる。いや、僕はもう1人じゃない。ミヅキというトモダチがいる。空気のように過ごす必要も、本当はないんだ。 『生きろよ』 ミヅキの声が聞こえた気がした。 僕は生きる。佐藤美雪として。ミヅキと同じ、この学校の生徒として。 僕は薄れていく月に向かってそう誓った。
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