獲物にありつけない

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 窓越しに夜空を眺める。  漆黒の夜空には、真円を描いた月と(きら)めく星々。美しい! 何とも素晴らしい夜空ではないか!  だが、素晴らしい夜空とは裏腹に、近況は芳しくない。人間が全然見つからないのだ。  生き血は、年頃の美女が一番美味いのだが、別に幼女や熟女、更には老婆、何なら男でも誰でもいい。とにかく、人間を見つけ、早く血を吸いたい。  三ヶ月以上、私は人間の生き血を吸っていないのだ。  ――今夜こそ人間が見つかるように。  そう願いながら私は飛び立つ。
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