底は黒く、雲は白く

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 大学生活三度目の夏休みが始まった。ちゃんと遊び惚けているが、インターンシップのことも忘れちゃいない。今日がその一日目だ。  自分の興味分野を分析し、それに該当する企業を絞った結果、二つの企業が特に気になった。会社の場所は自宅から二時間の所。場所的には遠いけれど、自分の興味のあることを扱っているとなると、何だか身近な気がしないでもない。  現地に到着。他のインターン生と一緒とはいえ、緊張感が湧いてくる。 入り口には「ヘルス食品カンパニー」と書かれている。ここは、国内生産で安全性が保証された食品の生産者さんを支援し、日本各地の小売業者との仲介をする会社だ。日本の食品自給率を支える要である。  インターンが開始。一日目の午前は会社説明会みたいな感じの座学。昼休みを経て、俺等は企画部に通された。部内の様子は忙しそうで、皆懸命に仕事をしているのが分かる。 「これから皆さんの持ち場を割り振ります。そこに行って担当者の指示に従ってください」  誘導者の指示により、インターン生は散り散りに持ち場に着いていった。 「こんにちは。林久鷺翔です。よろしくお願いします」  俺の担当は、中年のおじさんだった。 「おお、よろしく」  挨拶もそこそこに、おじさんはデスクから色々な資料を引っ張り出した。 「俺が抱えてんのが、これとこれとこれの三件。今日中に小売り先への資料を作らんといかんのだわ」  途端に、俺の目の前にファイルが山積みされる。 「君にその一つを仮作成してほしい。んじゃあ、これ。お願い。前例のプレゼン資料を今印刷掛けた。向こうのコピー機から出てくる。それを基にやってみて」  説明も早々に、おじさんは作業を再開させた。 「俺今余裕無いから、分からんことはさっきの説明の人に聞いてくれ」  思いの外、丸投げ感が強く、少々戸惑った。取り敢えず印刷機に資料を取りに行き、渡されたファイルに目を通さなければならない。  ここの職場環境はどうか。「人間関係も大事な職場環境の一つだから、ちゃんと観察してみてね」という先輩のアドバイスを貰っていたことを思い出した。事務作業のできる自分のスペースを確保して、職場環境を今一度見渡した。 「それ17時までに終わらせといてね」 「こっちも手一杯なんだからさあ」 「一々聞かないで自分で考えてよ」 「大学生なんだから、それくらいできるでしょ」  インターン生を交えたこの部署は、騒然さを増したのが分かった。
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