幸せ

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幸せ

真鶴が自分の家が無くなったと聞いたのは翌日だった。 無くなったと言っても半壊程度で消防が来てくれたので形はあるし、不思議なことに真鶴と眩夢の部屋は燃えることなく、無事だったらしい、だからって住めるわけでもないのだけれど、子供は奇跡的に無事で、けれど絶対安静と言う事で病院から出ることはできなかった。 担当の編集さんが学校での惨事や、家を失くし、双子の姉まで失くした真鶴を憐れんで、何かして欲しい事はある?と聞かれたので、とりあえず部屋にあった書きかけの新作と雪華を持ってきてもらった。その若さと編集さんの気遣いもあり個室になっている病室で真鶴は雪華に問う 「眩夢?」 真鶴がそう言えばふわっと真っ白なファーが特徴的なドレスを着た眩夢が出てくる 「魂、移しといてよかったね」 真鶴がそう言えば眩夢がにっこりと笑って言う 「まさかドライヤーで殺されるとは思わなかったわ」 「ドライヤーで死んだの?」 「お風呂に入って幸せなら手をたたこうを歌ってたらね」 「選曲おかしいでしょ」 「そう?」 そしてお互いクスクス笑って鬱陶しい存在だった弟夫婦の消失を喜ぶのだった。 真鶴は編集さんが後見人になり、独り暮らしすることになった。編集さんは本当によく動いてくれていて、弟夫婦の葬儀も笑里を預ける施設の斡旋も、家を再建したいと言う願いにも協力してくれた。 そうして真鶴はまたあの家に次は咲菜と言う娘を連れて戻ったのだった。 「この子無い子だね」 真鶴が言う 「そうね普通の子だわ」 雪華についている眩夢が言う 「もう一人欲しいな見える子、でも産むのはもういいや、養子でも貰う?」 「そうね、美しくて力の強い子」 「「どこにいるかなぁ、私達の大切な子」」
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