マドンナ

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マドンナ

まぁたびたびそんな仕返しをされたのならば、笑里も自分でイジメルのは、悪手だと思ったのか。高校のリーダーのようにマドンナと持て囃される性格のねじ曲がった女に、お姉さまなんて言って近づいて双子がどんなに気味が悪く、守る大人も居らず、どんなに煩わしい存在かを演説して見せたらしく、そこから教室の自分の席で読書などに勤しんでいるだけだった生活にイジメと言う煩わしい習慣が入り込むのだった。 そして学校の朝に戻るのだが、眩夢が煩わしい嫌がらせにほとほとあきれ返りながら、席に戻れば、反応が今一、納得いかなかったのか、マドンナ様が大きな声で言う。 「あぁごめんね、眩夢さん、あまりにじめじめしていたものだから、もう死んでしまっていたのかと思っていたわ」 何を期待しているのか、酷いと言って泣きわめけばいいのか、悔しい顔でもして欲しいのか、何とも幼稚で馬鹿馬鹿しく相手にするのもうっとおしいと無視して本を読んでいれば、ガンッと机を蹴る音、見ればマドンナ様が不機嫌にこちらを見ている 最近中学生から高校生になったからまだまだ幼稚なのか、マドンナと言われながら年齢的に上に逆らえない鬱憤でもたまっているのか、何が彼女をそこまで幼稚にさせるのかはわからないが、取り巻きと共に不機嫌そうにこちらを見ている、 あぁ、うっとうしいと言う思いを抱えながら眩夢は言う 「綺麗な花をありがとう、捨ててしまったけれど」 そう言って本に視線を戻せば、マドンナ様がこちらに来ている気配、読書の邪魔をしようと思っているのだろうと手に取るようにわかるので、マドンナの上履きを動かないようにしてやれば、思ったように動かせなかった足に引っ張られて盛大にこけるマドンナ、周りの者が心配して駆けつけるも、どうして自分の片足が思うように動かなかったのかわからないマドンナは驚いた顔で眩夢を見れば、眩夢は、ただ本を読んでいるだけ、眩夢だけが何も起きていないように過ごしていて腹立たしさが沸くが、今起きた奇妙なようなことは眩夢に危害を与えようとすると、たびたび起こる事で、興が削がれたとマドンナ様は、眩夢を無視して、こけて少し、青くなった膝を冷やすために保健室に行くのだった。 保健室に行く途中正面から眩夢が歩いて来る、いや眩夢は教室で本を読んでいた。ならば美術室通いをしている真鶴の方だろう、何ともそっくりな顔の真鶴を見れば、また怒りが沸き上がるという物で、美術の先生と仲のいい真鶴の隣を歩く時聞こえるように言ってやる。 「坂城(さかき)先生ともうヤッたのかしら」 マドンナ様がそう言った声は真鶴に聞こえていて真鶴は不愉快そうにマドンナ様を見る物だから、少し欲求を満たされた様に感じて、仲間とクスクス笑いながら通り過ぎるのだった。 そんなマドンナを見て真鶴はまた眩夢をイジメようとして失敗したのねと思う、朝一番に登校して美術室で坂城先生の作品を見るのが真鶴の日課、坂城先生は造形に深いからか、この世界で唯一、真鶴と眩夢を見分ける、美術講師として働きながら芸術家活動もしている人だ、真鶴は坂城先生の世界観が好きで、いつも新作を見させてもらっている、真鶴も読書好きだが眩夢と違うのは自分でも書くことで、その話の世界観を坂城先生も気に入ってくれていて真鶴も自分の新作を坂城先生に見せている、2人は互いの新作でインスピレーションを得て、作品作りができる最高の相棒のような関係なのだ、 そして実は眩夢と坂城先生にしか言っていないが、真鶴は最近小説コンテストに作品を出したばかりだった。 このコンテストに通れば作家になれて、鬱陶しい弟夫婦の世話にならずとも生活できるようになる、それが嬉しくて楽しみで、そう話せば君ならできるよと、いつでも真鶴の味方をしてくれる坂城先生に言われれば喜ばずにはいられないだろう、 胸を高鳴らせ教室に行けばいつもの嫌がらせ、と言っても缶ジュースの缶に似合わぬ花が飾られているだけだが、今気分のいい真鶴にはそれも可愛らしく見えて、缶から花を取り、少し嗅いでから窓の外に投げ捨てる、うわ、嗅いでるよ、なんて言う嫌味も聞こえはしない、缶をゴミ箱に放り捨てて、先生の作品を見て沸いたインスピレーションの走り書きを纏めて、新作の構想を練る為に創作ノートにペンを走らせるのだった。 それが眩夢と真鶴の日常である
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