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魂の半分
双子は綺麗な人形を抱えて、嬉しそうに家に帰れば、玄関で笑里と鉢合わせる
「うっわ、幽霊双子が呪い人形持っている、誰か呪うつもり?気持ち悪い」
そう言って笑里はリビングに入って行って、母親に双子が呪い人形を持って帰ったなんて大きな声でいう物だから真鶴と眩夢は急いで部屋に入ってカギを締めたのだった。
双子は自分達がいない時に、弟家族に人形達を捨てられては敵わないと、しまっていた鍵を取り出して、部屋を出る時は鍵をかけるよにした。自分達の部屋が鍵のかかる部屋でよかったと胸を撫でおろす
人形を貰ったからと世界が変わるわけもないはずなのだが、まだ自分達が生まれたことを祝ってくれる人がいる、それだけでなんだか嬉しくて、いつも通り、残り物のような夕飯を部屋の前に置かれてそれを食べているのに、パーティーのご馳走を食べているような楽しい気分になるのだった。
翌日も、いつもと変わらず嫌がらせなどあるが、今の二人には今まで以上にそんな物は効果はなく、心穏やかに日々を過ごしていた。そんな日々にまた嬉しい事が起こる、真鶴がコンテストで大賞を取ったのだ、そのまま小説は書籍化されることとなり、弟夫婦はそれをも管理しようとしたが真鶴は編集部に自分達がどんな状況であるかを涙ながらに(まぁ演技なのだが)語ったので編集は真鶴本人と契約してくれて、サポートしてくれる話となった。
真鶴はその喜ばしい知らせをもちろん坂城先生に知らせたし、作品を生み出すために坂城先生の教室に通う事が増えたのだった。
眩夢は真鶴が幸せそうで嬉しくて自分も収入が欲しいなと思い、書店でのバイトを始めた。
そんな事だから二人の生活は違う物となり、弟夫婦は2人とも収入があるのだからと、食事を出すことが無くなったが、言う通り収入もあるし、そこらにコンビニもあり、あまり困る事はないかった。
だが、二人がいない間に部屋の合鍵でも作られたのか、笑里がどうも嫌がらせをしているようだ、幸い人形には何もされていないが、真鶴の仕事道具を盗まれるのはとても迷惑だ、それで雪華に細工することにした。
指の先に針で傷をつけ、紙に血で術式を書く
「それ本当に効くの?」
真鶴が眩夢に問うと、見るからに古ぼけてぼろぼろの本を見ながら作業している眩夢が言う、
「オカルトコレクターの父さんの本だもの、きっと大丈夫よ」
そう言いながら眩夢は人形に目を入れる時のように雪華の頭のパーツを外してその中にも針に血を付けて何かを刻む
そして紙の術式の上に置いて念仏のような物を唱える、それを唱えていると、なんだか眩夢が二つに避けたような感覚なり、念仏を唱え終わるころには眩夢の魂の半分が、雪華に入っていた。
「成功した!」
「すごい!本物だったんだ!」
2人が騒げば、魂が笑う
「見張りは任せて」
よろしくね!なんて言えば雪華が笑ったように見えた。
そして眩夢の半分の魂を持たせた見張りは大成功で、笑里を見事撃退してくれたようで、あまりの気味の悪さに笑里は双子の部屋には近づかなくなったのだった。
その結果が嬉しくて3人で楽しく笑ったのだった。
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