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その結果。少女を助けることとなり、雅は自分らしくないと感じて、己にさえイラついた。
今、雅の目の前にいる少女は目に涙を浮かべながら、雅が着ている服の袖を引っ張り、助けてと懇願している様子が伺えた。
先ほどのように抵抗もしない、諦めている態度であれば助ける価値など無いと雅は思ったが、今の少女は必死に生きようと前を向いた感じがしたので、助けてやっても良いかなと雅の気持ちが動いた。
それに顔を見て思った、この少女は……。
「アンタ、本当に何も分からないの?」
雅が問うと少女は小さく「……はい」と答えた。
これは参ったなと雅は心で思うと、ため息をつきながら「そうか」と一言。
「……こんな所で色々と話し込んだら、またアンタが狙われるかもしれない。とりあえず僕の家に来なよ、ここよりはマシだろうから……まぁ、僕もあやかしだから信用なんて出来ないだろうけど……アンタの好きにしな」
どうも、こういう大人しそうな性格の人間は苦手で対応が素っ気なくなってしまう。
今まで感情が豊かで、それこそ泣き喚く人間しか相手をしたことが無かったので、この少女を苦手と感じた。
「……いえ。今雅さんは私を喰べるとしたら、喰べられますし、襲ってもこれます。でも、襲ってこない……嫌なら突き放すことも出来ます。それをしてこない雅さんは、今の私にとって充分に、信頼が出来る方です。こんな私にありがとうございます」
少女は雅へ頭を深々と下げる。
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