10人が本棚に入れています
本棚に追加
第6話 ふと全滅するとどうなるのか気になったけど
それから。
『バブルウェーブ!』
『バブルウェーブ!』
『バブルウェーブ!』
第1話「アールボールの村」のステージでは村の近くに出てくる厄介な魔物を退治してくれという、お使い系クエスト。
森の中が主戦場でどんどんと森の奥へと進んでいく。
出てくる敵はキャノンイーターだけ。
手抜きもいいところだが最初からいろんな敵を出してもプレイヤー側が対応できないので仕方ない。
リーゼのバブルウェーブを連発するだけで難なく最初のボスステージまで進むことができた。
「いよいよボスバトルですね。説明するまでもないかもですが、ここボスはナベダヌキといってこれまでのキャノンイーターよりも高い防御力を持っています。気をつけてくださいね!」
アルボがためになるアドバイスをくれる。
本来ならこんなアドバイスはなかったと思うがアップデートで追加でもされたかな?
基本、習うより慣れろと言わんばかりに説明が少ないゲームだからな。
「わかってる。弱点は魔法攻撃。特に火属性が有効だが、リーゼのバブルウェーブでも十分倒せるだろう。ま、本来ならここで後2,3人はパーティメンバーを増やしておきたかったところなんだが……」
クソ運営のせいでガチャを引くには石が足りない。
運営は定期的に一からプレイして初心者の気持ちになるべきだと思うな俺は。
アイツラのテストプレイは上級者目線なんだ。
目まぐるしく変わる環境に合わせて常にいつ初心者が初めてもいいようにプレイする部署を設置すればソシャゲ業界はもっと良くなるのに。
あいつらはそこにコストを絶対にかけようとしない。
「なあアルボ。これずっと気になってたんだけどさ、敵にやられるとどうなるんだ?」
「普通はミッション失敗となりますね」
「それって、死んだりしないよな?」
「どうなんですかね……。あなたは完全なイレギュラーですしミッション失敗後にどうなるかはボクにも想像がつきません。一応キャラクターたちはやられると気絶という扱いにはなりますが……ビジターはどうなんでしょうね?」
「気絶かあ。俺も気絶させられるのかなあ」
「させられるんじゃないです? あなただけ無傷っていうのも不自然ですし。ちなみにボクは姿が消せるのでやられることはありません」
だから全滅してもこいつだけ拠点で元気にしてやがったのか。
「死ななくても気絶はちょっと、いや、かなり嫌だな」
と俺が言うとすかさずリーゼが
「あたしだって嫌よ、気絶なんて。アンタがあたしのご主人なんだからそんな事にならないようにしっかり指揮を取ってよね」
と言った。
そりゃそうだ。
まっさきに狙われるのは戦っているリーゼだ。
俺だってこんなかわいい女の子が目の前でモンスターに気絶させられるというのは見たくない。
ところでいまリーゼが俺のことを『ご主人』と呼ばなかったか?
「これは慎重に挑まないといけないな。なんか、ゲームやってるときとは比べ物にならない緊張感があるぞ、これは」
「あはは。全員気絶っていうの、一度体験してみるのも悪くないかもですよ」
アルボがふざけると俺とリーゼは同時に
「勘弁してくれよ!」
「絶対に嫌!」
と叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!