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第10話 ようやくガチャが引けるようになったので
「ガチャを引くぞ」
第1話のクエストをすべてクリアした。
森に巣食うナベダヌキを討伐したことで、最初の拠点であるアールボール村を救い、ゲーム的に『第1章第1話を攻略せよ』というミッションをクリアした報酬もゲットした。
NPCであり妖精のアルボから、村を救ったお礼(という建前)を受け取り、俺の手持ちはちょうど3000石になったのだった。
アルボはくるりと跳ねるように俺の周りを飛んで回って。
「ガチャ! いいですね!」
NPCらしい仕事ができるのが嬉しいみたいだ。
「この先もリーゼさんお一人で攻略するというのはあまりに無茶ですもんね」
その通りなのだ。
前回の戦いで戦闘を目の当たりにして学んだ。
戦うのはリアルに目の前に存在するキャラクター。
敵の攻撃を受ければゲームの時のようにキャラがノックバックしてHPゲージが減るだけでは済まない。
キャラは攻撃を受ければ、痛みを感じるし悲鳴も上げるし、服だって汚れるし破けるし、傷もできるし血だって出る。
まあ傷はすぐに治るようだったけど、痛みはそうはいかないようだった。
だから俺は――
ただクリアするだけじゃなく、できるだけダメージを受けずにクリアしたいのだ。
もう目の前で体の小さなリーゼが吹っ飛ばされるようなことは二度と起こしたくない。
そのためには戦力の補強が必要だ。
一番手っ取り早いのが手持ちキャラを増やす『召喚』。つまりガチャ。
ソシャゲにおいてガチャは戦力強化の最短経路。
強いキャラを手に入れるにはガチャ。
ゲームを楽しく遊びたいならガチャ。
ガチャガチャガチャ。
日本のソシャゲの悲しい現実。
『召喚の儀』と呼ばれるこのゲームのガチャは1回300石。3000石あれば10回召喚を行える。
今の俺には10人も仲間を増やすチャンスが有るということだ。
まあ、キャラが被ることもある。よくあるんだけれどね。
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