第10.2話 どのガチャをひこうか悩んで

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第10.2話 どのガチャをひこうか悩んで

  「それで、どのガチャ――じゃなかった召喚を行いますか?」  アルボが肩掛けバッグから数枚の紙をとりだして渡してきた。 「なんだこりゃ。チラシ……か?」  そのチラシには普段俺がゲームで目にしていたガチャの派手な広告が載っていた。  なるほど、ゲーム内ではナビゲーターがこうやってチラシをもってくるという体裁をとっていたらしい。 「本当はカニバのとき以外にガチャは引かないほうがいいんだけどな……」    ぶつぶつとぼやきながらチラシに目を通す。  ブルファンには月に一度行われる『スターゲートカーニバル』(通称カニバ)というものがある。  強い限定キャラが登場する上に、SSRの当選率まであがる。  お金に相当余裕がある人以外は皆カニバを狙って貯蓄に励んでいる。  なのだけど、今月のカニバはすでに終わっていた。  次回は来月。  そんなの待ってたらサ終してしまう。  今の俺には時間がない。  リーゼにこれ以上負担をかけ続けるわけにいかない。   「そうだなあ……まあ、まずコレはないな」  チラシを一枚アルボに返す。 「この召喚は除外なんですね。良さそうに見えますけど……なにか理由があるんです?」  どのガチャのチラシもど派手で、週刊誌のあやしい広告ばりに、良いことばかりが書いてあり、つい衝動的に引きたくなるような内容だ。  だがこれは――罠だ。  ゲーム始めたての『新規』なら騙せても俺の目はごまかせない。 「ここみてみ。復刻って書いてあるだろ? 復刻ってことは随分前に開催されたガチャってことなんだ」 「ほんとだ! 書いてありますね」 「復刻のガチャは注意が必要だ。だいたい数ヶ月以上前に開催されたガチャってことだから、当時は強くても今の環境には一歩遅れているということが多い」  まだ腑に落ちない様子のアルボ。 「な、なるほど? でもそんなにすぐ使えなくなるものなんです? たった数ヶ月前に出たばかりですよね」  俺はわざとらしくため息を付いて。 「アルボ……お前それでもNPCか?」 「ええっ!? い、一応は……」  羽をパタパタしながら上目遣いでこちらを申し訳無さそうに見てくるアルボがやたら可愛い。  可愛すぎてちょっといじめたくなるくらいに。
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