第3話 リセマラすることもできず

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第3話 リセマラすることもできず

  「それでもせっかくだし、SRキリアがでるまでリセマラでもするか。リセマラはサポートキャラを引くのが鉄板だからな。SRキリアなら第1章クリアくらいまでは使えるし」  リセマラとはリセットマラソンという用語の略だ。  誰が命名したのか、実にうまい表現で、最初に引ける無料のガチャをゲームをリセットすることで何度も引いて、目当てのキャラが出るまでさながらマラソンのように繰り返す事を言う。  このゲームのキャラクターにはレアリティというランクが点けられており  N(ノーマル)  R(レア)  SR(スーパーレア)  SSR(ダブルスーパーレア)  という段階に強くなっていく。  同じレアリティの中でも強さはまちまちであり、それらをまとめた専門の攻略サイトもあった。  ライフがない時はリセマラするわけでもないのにリセマラランキングを眺めては評価サイトにケチをつけたりしていたものだ。  あ、ライフっていうのは――まあそのうち説明するよ。  ソーシャルゲーム――ソシャゲには専門用語が多いからそれを全て説明していると全く話が進まなくなってしまうから。 「リセマラって、あれですよね。何度も何度もしつこくやってくるビジターさんのアレですよね」 「そうそう。名前が同じだったり『あ』とか一文字だったらだいたいそうだな。リセマラはソシャゲの基本だからな。どうせなら夢から目が覚めるまで遊び倒してやるよ」 「疲れるんですよね、あれ。何度も同じセリフ言わないといけないし」 「そりゃこっちのセリフだよ。何度も同じセリフ聞かされるんだぞ? 酷い時は丸一日聞き続けたりするんだぞ」 「ふふふ、確かにそうですね。でも――」  アルボは妖精というより天使と言う方がふさわしいくらい笑顔の後、俺を見た。 「あなたはどうやってこの世界をやり直すんです?」 「……え?」 ※ライフ  ゲームを遊ぶために必要なポイントのこと。ゲームを遊ぶたびに消費される。ゲームによってはスタミナだったり呼び方は様々。たいていは時間経過で回復するが、課金することで回復させることもできる。 ※課金  ソシャゲのほとんどは基本無料。ただ遊ぶだけならお金がかからないのがほとんど。だけどより有利に進めたい場合はお金を払うことでアイテムを購入できる場合があり、そのお金を払うことを課金という。また全く課金しないことを『無課金』という。逆に課金しまくったことを『廃課金』という。キシタローはその中間の『重課金』。他にちょっとだけ課金するプレイヤーを『微課金』などと区分することもある。
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