第5話 やっとチュートリアル終了したら

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第5話 やっとチュートリアル終了したら

『バブルウェーブ!!』  リーゼのバブルウェーブは全体攻撃。  第1章で出てくる敵は魔法攻撃が弱点だ。  効果テキメンでキャノンイーターの群れを一撃で葬り去っていく。  最初はサクサク。  俺TUEEで気持ちよく。  ソシャゲの始まりはこうでなければならない。  最初から城の周りでチマチマとレベル上げをするなんてことをやらせていてはユーザーはすぐに辞めてしまう。  結果として攻撃役のリーゼを手に入れたこともあって、あっという間に最初のクエストをクリアすることができた。  戦闘が終了するとぽむっとアルボが姿を表す。 「これでチュートリアルは終了です。お疲れ様でした! ボクの役目はここまでですがわからないことがあったらヘルプボタンを……」 「ちょいちょいまてまて。ヘルプボタンとかないから」 「そうでしたね。すみません。でもまあボクはずっとあなたについていくことになってますから、困ったことがあれば喚び出して聞いてください」 「うん。さっそく困っているんだが」 「なににです?」 「最初にもらえる特典だよ。まだもらってないんだが。プレゼントボックスはどこだ? 始めたての初心者には手厚いボーナスが用意されているもんだろう?」 「ああーありましたねそんなのも。いまはそんなのありませんよ。プレゼントボックスの中味はっと」  アルボは肩掛けカバンの中から小さな箱を取り出して開けた。 「これだけですね。ライフ回復ができるラムネ10個です」  なんだって?  俺が始めた時はたしか事前登録特典とかゲーム開始記念だとかで(ジェル)を配っていたはずなんだが、今は何も配っていないのか?   「ええ、今はこれだけですね。特にキャンペーンとかも今はやっていないですし」  なんてクソ運営だ。  典型的なダメ運営じゃないか。  初心者が気持ちよくプレイできる環境は最も重要だと言うのに。  最低でもガチャを20、いや50連は引けるくらいのジェルは用意してやらないと3年目のゲームとしては不十分だ。  それとも本当にサービス終了が近いから配布を絞っているとでもいうのか。   「こんな怠慢運営だから初心者が定着しなくてサ終しちまうんだよ」 「サシューってなんです?」 「サービス終了のこと。略してサ終だ」 「へえー。なるほど。おもしろい呼び方ですね。ボクたちこの世界の住人が絶対に使うことがない言葉ですね」 「確かに」  アルボの究極にメタい反応にちょっと笑いそうになったが、今の俺の状況は笑えない。  最序盤はまだいいが、このゲームはパーティメンバーを5人揃えて戦う。  さらに敵の属性や耐性に合わせてメンバー入れ替えたりせねばならず、なりの数の仲間を揃えないといけないのだ。  SRリーゼ1体ではすぐに進めなくなってしまう。 「なあアルボ。ヘルプボタンからの操作はお前がやってくれるんだったよな?」 「そうですね。ログアウトとかの機能面以外でしたら――運営からの通知をお知らせしたり、仲間を入れ替えたり、アイテムを出し入れしたりは任せてください」 「だったら――『お問い合わせ』だ」 ※全体攻撃と単体攻撃  キャラクターのスキルは敵1体を攻撃する単体攻撃や眼の前の敵全てを攻撃する全体攻撃など攻撃範囲がスキルによって違う。大抵は単体攻撃は威力が高い。全体攻撃は威力が低いかわりに複数の敵に有効だったりする。威力の高い全体攻撃の場合は使用回数や使用頻度、消費する頻度などに制限がかかっていることが多い。今回登場したSRリーゼの全体攻撃は威力が高いかわりに連続使用ができないようになっており、またリーゼの耐久力も極端に低く設定されている。
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