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 大きくため息をつくと思わず立っているのもつらくなり社長室のフカフカのソファーに座り込んだ。  そして顔をしかめてこれまでのお見合い相手の事を思い返す。  一回目は老舗である桜庭百貨店の次男。桜庭ラモン様でした。  彼とは有名な和食料亭でのお見合いでした。お料理も素晴らしく、お庭にはコイが泳いでいてそれはすばらかった。  型どおり顔合わせが終わり食事を楽しんだ後はすぐにふたりきりになりました。  彼はすぐにわたしの手を握り、君を一生大切にすると言われました。  わたしがそんなことに騙されるとでも思ったのかしら‥‥  実は彼女には人に言えない秘密があった。彼女が触れるとその人の未来の事が映像のように見えるのだ。それがどれくらい先のことかまでははっきりとはわからないのだが…  この不思議な能力は母と一緒に乗った車が事故を起こして母が亡くなり、くららが頭に大けがをした後から起きるようになった。7歳だったくららには衝撃的なことで祖母がいてくれたからどうなっていた事か、それにこのことは今まで祖母しか知らず、他に知っている者はいなかった。
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