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「それではゾフィー様とお子様はどうされるのですか?」
「子供は君さえよければ僕達の養子にしたい。ゾフィーは父上の養女にして、うちにいたかったらいてもいいし、結婚したいのなら、僕の伝手で良縁を探すよ」
「でも、ゾフィー様を閣下の養女にするなんて閣下はお認めにならないのではないですか?閣下はゾフィー様とルドルフ様が結婚されることを望んでいますし、もしゾフィー様がルドルフ様と結婚されないのなら、別の良縁を探すのも難しいですよね?未婚で出産経験のある女性だと、年寄りの貴族か貴族の箔が欲しい金満商人の後妻になるしかないのではないですか?」
「い、いや、そんなことがないように父上を説得するか、良縁を探すよ」
「それに元婚約者の家に養女に入って元婚約者は別の女性と結婚、子供も元婚約者と『泥棒猫』に取り上げられるなんて残酷すぎます。公爵閣下もそんな計画をお許しになるはずがありません」
「『泥棒猫』?!まさかアンネのこと?誰がそんなこと言っているんだい?」
「公爵家の使用人達は皆そう言っていますし、社交界でも私はそう呼ばれているみたいです。ご存知ないのはルドルフ様だけです。本当にそんな計画はゾフィー様に残酷すぎます」
ルドルフはここ数年、ゾフィーをエスコートしなければならない機会をなるべく避けたくて最低限必要な夜会にしか出席していなかったから、社交界での噂は耳にしていなかった。だが、侍女達の噂経由でアンネの耳には届いていた。
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