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「お前はルドルフを慕っているのか?」
ゾフィーは核心をついた質問に恥ずかしくて答えられず、赤くなってうつむいた。
「いいのか、あんな平民の侍女風情に想い人をとられて?」
「そ、そうは言っても妻になるのは私なんですから・・・」
「このままだとあの男の心は永遠にあの女のものだな。それどころか、あいつが駆け落ちしたら結婚すらなくなるぞ。それか向こうの有責で婚約解消するか?多分ルドルフはそれを狙って何度も結婚式を延長してるんだろう」
マティアスは婚約解消の選択肢は最早ないことを承知でゾフィーにそう迫った。ゾフィーだってこの婚約が破綻していることはわかっていたが、なるべくそのことを考えたくなくて、ルドルフの度重なる結婚延期要請に何も有効な対策をとれず本来の結婚予定から2年もずるずると経ってしまった。
「もしルドルフと結婚したいのなら、既成事実を作りなさい。ルドルフは律儀な奴だから、今はまだお前と婚約解消していない以上あの女とまだ寝ていないはずだ。お前が初めての女になって子供もできれば絆されるだろう」
「そ、そんなことできません!」
「何もそんなに大それたことじゃない。結婚よりちょっと早く子供を作るだけだ。どうせ結婚するんだから問題はない。それにお前がぐずぐずしていると、ルドルフは我慢できなくなっていずれあの女とヤるだろうから、あの女の身体におぼれてますますお前のことなんか見なくなるぞ」
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