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14.思いがけない要請
ラルフがルドルフの従弟であることは王宮の勤め人達にも広まりつつあり、ラルフが次期公爵になるのではとか、ルドルフが婚約者との三角関係に悩んだ末に侍女と裸で抱き合ったまま情死したとか、王宮では人々が様々な噂を流していた。
ルドルフの葬儀翌日、ラルフは出勤しており、王宮で珍しく伯父のコーブルク公爵に出くわした。下級官吏であるラルフが高位貴族である伯父に王宮で出会うことはほとんどなく、実家が没落してからは家族ぐるみの交流はなくなったので、ラルフは伯父とは没交渉だった。
「ラルフ君、その際は参列いただいてありがとう」
「公爵閣下、お悔み申し上げます。私もルドルフには別れを告げたかったですから参列は当然です」
「他人行儀だね。伯父と呼んでくれてかまわないよ」
「ここは王宮ですから」
「とにかくここで会えてよかった。妹達に内密でちょっと相談があるんだ。今日、仕事帰りにいいだろうか?」
仕事帰りにラルフが公爵と待ち合わせしたのは、貴族街にあるレストランの個室だった。用件は、半ば予想していたが、やはり公爵家の後継ぎのことだった。それともう1つ、思いもかけなかった条件が後継ぎ問題についてくることがわかった。
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