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「私が嫉妬するって己惚れているの?それとも後ろめたいことがあったの?」
「とんでもない!彼女は子供にも恵まれて旦那さんともうまくいっているそうだよ。だから大昔に婚約を破棄した相手なんて何とも思ってないよ。だいたい顔を見たのも、婚約破棄の後2年前の会合で再会したのが初めてだし」
「まぁいいわ。今回はお義兄様に免じて協力してあげる」
「ありがとう、ゾフィー」
そう言ってゾフィーを見つめたラルフの瞳は熱を帯びていた。ラルフが顔を近づけてくると、ゾフィーはそっと躱して額にキスをした。
「ごめん。性急すぎたね」
そう言って寝室を先に出て行ったラルフは明らかに傷ついていた。落胆とショックと後悔がない交ぜになった複雑な感情が顔に出るのは隠しきれなかった。だがゾフィーにはラルフの背中しか見えなかったので、そのことに気づかなかった。
ラルフがゴットフリートのためにしたお節介はなかなか一筋縄ではいかず、時間もかかったが、喜ばしいことに実を結んだ。だが、ラルフとゾフィー自身の夫婦関係は、一進一退で中々進まなかった。
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