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ある日、ミハエルは、新入りの侍女が古株の侍女と自分のことを話しているらしいのが聞こえ、いけないとは思いつつ、物陰に隠れて盗み聞きしてしまった。
「坊ちゃまって若旦那様に似てないですね」
「ほら、ご結婚後すぐにゾフィー様がご懐妊されて坊ちゃまが月足らずで生まれたっていう話、聞いたことあるでしょ?あれって嘘だって話だよ」
「じゃあ、坊ちゃまはどなたのお子さんだっていうんですか?」
「多分、亡くなったルドルフ様のお子さんだろうね。お坊ちゃまはルドルフ様がお小さい頃にそっくりだよ」
「えーっ?!ルドルフ様ってあの心中事件の?!顔知ってるんですか?」
「しーっ!声が大きいよ。そりゃ今は似姿も何も残されてないけど、私はルドルフ様がお小さい頃からここで働いているからね・・・」
ミハエルが聞いたのはそこまでだった。あまりのショックで放心状態になったから、侍女達がその場を立ち去ったのにもしばらく気付かなかった。
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