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ラルフがルドルフと疎遠になっていたのは、ノスティツ家の没落と両親の放蕩のせいだった。もっともカタリナはダメ元でしょっちゅう実家に返す気のない借金要請をしていたので、兄である公爵とは嫌がられながらもたまに連絡をとっており、公爵家の事情はある程度は聞き知っていた。
ノスティツ子爵家は元々侯爵を叙せられていた。ラルフの父親フリードリヒはラルフの祖父である先々代の死後に当主になってから、ギャンブルや女遊びに歯止めがかからなくなってすぐに借金に首がまわらなくなり、ノスティツ家の経済状態はみるみるうちに悪化した。最後には領地を売却するしかなくなり、侯爵から子爵に降爵させられた。
母カタリナは先代公爵から都度都度援助を引き出していたが、それも兄であるアルベルトが爵位を継いでからは援助をもらえなくなってしまった。それなのにカタリナはいまだに羽振りが良かった頃を忘れられない。
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