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「ふう……。いけません、香栗様。間接キスになります」
気にするとこ、そこ……?
土器に注がれた水をぐびぐびと飲む威凪刃に、香栗はまたもや困惑する。なんだか変わった子だ。
「私は、【強靱丸】を発明した研究者を親族に持つ人間です」
「強靱丸って、人間の身体能力を引き上げる丸薬のこと、だよね?」
「はい。現状、強靱丸は体質が合わないと体調不良を起こす代物ですが、それでもたくさんの需要があります」
「うん。そうだね」
香栗も強靱丸を試したことがある。それを使えば、非力な自分を変えられるのではないか、と考えたからだ。だが、結果は散々。数週間、寝込んだ苦々しい記憶が刻まれている。
「私の家系は大きな富を得て、また私も強靱丸に耐えられる体質にとても合致していました。おかげこうして飛躍的に成長できております。それもこれも、香栗様の父上が多額の資金を出してくれたからになります」
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