第二話

4/8

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
 ☆  一日の授業を終えた香栗は、威凪刃と共に図書室へ来ていた。赤のカーテンで夕焼けの日差しを遮断している。図書室は地下の書庫と、二階へ続く階段がある。他の生徒は入り口付近の大きな長方形のテーブル席を利用している様子だったため、二人は二階に上がり、正方形に近いテーブルの席についた。席につくまで威凪刃はきょろきょろと辺りを見回していて、香栗はなんだか懐かしさを感じた。入学当初の自分も、書籍の量に驚きながらも目を輝かせていたと思う。  「まず、【キノスアラシ】について、説明するね」  「は、はいっ」  香栗は自身でまとめていた資料を開く。書き留めていたメモの余白には、たぬきの絵が描かれていた。それを見つけた威凪刃は、内心でキュンと、ときめいていた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加