第二話

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 「キノスアラシはたぬきに似ていて、その名前の通り、大木に住み着く生物の巣を荒らす習性が確認されているあやかしなの」  「なるほど。樹の巣を荒らす、から来ている名称なのですね」  飲み込みが早そうで助かる。香栗は威凪刃をそう評価した。頷き、話を続ける。  「それで、近年、キノスアラシの謎の凶暴化が起きていて、今回の課題はそれの原因を突き止めること」  「あのばばあ。無茶苦茶、言ってます。たった三ヶ月で解決できたら苦労しませんよ」  苦々しく言う威凪刃に、香栗は「そうかもね」と、苦笑する。だが今回は、口は悪いが、威凪刃の言うことももっともだ。普通にやっていては手がかりすら掴めない。  「でもね。実はわたし、いくつかの仮説があるんだ。まあ、前々から考えていただけなのだけれど」  「なんと。さすが香栗様です」  「とはいえ、確証はないから、実際に調査する必要があると思うの」
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