第三話

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 威凪刃と図書室に入ってから一週間後。二人は荷馬車に乗っていた。  キノスアラシの調査を行うため、香栗は五日間の外出届を提出していた。我瑠楽からは「本気なんだね?」と訊ねられた。香栗は頷いた。廊下ですれ違う際に、他の生徒はひそひそと香栗のことを話していた。キノスアラシそのものは、そこまで危険なあやかしではない。とはいえ、凶暴化の噂はあるし、何より、あの非力な香栗が調査を行うことに、疑問を持っている様子だった。桜寿もその一人で、何かと声をかけてきた。が、威凪刃が割って入り、最終的に口論になるのが日常になりつつある。  「香栗様」
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