第三話

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 そして外出当日。午前中から荷馬車に揺られて、目的の宿に移動していた。威凪刃と共に思染学園を出て半日。香栗は既に疲労を感じていた。移動などのもろもろの時間を考えると、調査に使える時間は約三日。この程度で疲れていては話にならない。荷台に乗っているだけで、このていたらくだ。我瑠楽が反対するのも当然かもしれない。  「香栗様。少し横になられてはいかがでしょう」  「でも」  「宿の近くに着いたら起こします」  微笑む威凪刃に、香栗は甘えた。一人では移動すらこなせなかっただろう。  「それじゃあ」  横になり、威凪刃の膝に頭を乗せる。威凪刃は内心で「ふああああっ」と少し興奮していたが、理性と香栗への敬意が香栗に触れることを許さなかった。香栗はそんな威凪刃の葛藤など知らず、まぶたを閉じた。
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