第三話

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 ☆  「ふう~。極楽ですね、これは」  「でかい……」  香栗は湯に浸かる威凪刃をじっと見てから、自身の身体を見つめる。運動してそうな威凪刃に負けている事実に、虚しさを覚えた。  「でかい? ああ。確かにこの風呂場、でかいですよね」  「う、うん。そうだね。あはは……」  背中は威凪刃に流してもらった。自分も風呂に浸かろう。湯に入る香栗。少し熱く感じた。威凪刃にはちょうどいいのだろうか。けれど、しばらく浸かっていると、確かに気持ちよくなってくる。  「明日はいよいよ調査ですね」  「うん。頑張らないと」  肩まで浸かる香栗に、威凪刃は何気なく訊ねる。  「香栗様は、どうしてあやかし学の道に進みたいのですか?」  「やっぱり、おかしいかな?」  「いえ、決してそのようなことは!」  と、威凪刃がぶんぶん首を左右に振る。
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