第四話

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 「遅いですね」  「そうだね」  案内人との合流地点である、町に設置された猫の銅像前で待つ香栗と威凪刃。しかし、待ち合わせの時間から二十分が過ぎようとしていた。威凪刃の言うように、確かに遅い。  「何かあったのかな」  「それは困りますね。面倒ごとは、我々を案内し終えた後にしてほしいものですが」  「あはは……」  二人が話していると、ひそひそと男性の二人組が話しあっている。下卑た目で香栗と威凪刃を見ていた。  「あの二人、どうしたんだろう」  「ゲスめ。香栗様、目を合わせてはいけません。あれはナンパするか話し合っているのです」  「え」  よく聞くと、どちらが好みか、など容姿を話し合っているようだった。思わず視線が下がる。  「場所を変えましょうか?」  「え。でも」  「なあ、そこのお嬢ちゃん」
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