第四話

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 「この子は、そんなに危険な子じゃないと思うけどなー」  呑気な口調で話すのは夜栄。楽観的だ。夜栄は腰の鞄から、スライスした歪な形の柿を手に取ると、茂みの奥へと投げた。  「ほら。行った、行った」  キノスアラシは柿を探しに茂みへと戻って行った。威凪刃は刀の持ち手から手を離す。  「ありがとうございます。夜栄さん」  「いいよ、これくらい」  手をひらひらさせて笑う夜栄に、香栗は相談する。  「あの。夜栄さん」  「なんだい?」  「今のキノスアラシを追いかけてもいいですか?」  「香栗様。それは」  威凪刃は思わず反対する。が、夜栄は呑気に答えた。  「いいんじゃない? ルートもそこまで外れているわけでもない」  「ありがとうございます!」  ぱあっと明るい表情を香栗は見せた。茂みへと歩いて行く。威凪刃は夜栄を鋭い視線で見てから、香栗を追いかける。夜栄は苦笑した。  「変わった子たちだねえ」
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