第四話

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 「そういえば、このでかい樹はなんて言うんだ?」  「シシズク。紫色の雫を垂らすことがあるんだ」  「変わった樹だな」  「そりゃあ、ね。これは幻想植物学に分類されているし。まあ、最近じゃあ、当たり前のように伐採されることが多くて、幻想感も無いんだけどねー」  「幻想植物学……」  桜寿の顔が浮かんだ。憎らしい。仏頂面になる威凪刃を見た夜栄は、不思議そうな顔をした。  「あれ?」  「どうした、お嬢ちゃん」  シシズクの根に近い箇所に、顔をうずめるように近づけていた香栗がある物を発見した。夜栄が近寄る気配を感じた香栗は、シシズクから離れ、振り返る。  「この白いのは、なんでしょう?」  「どれどれ」  シシズクの太い根。腰を低くした夜栄は、香栗の指差す所を見る。ああ、あれか。夜栄は説明し始めた。  「アワヒカルの出した液が固まった物だね」
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