第四話

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 「アワヒカルって、確か昆虫類の」  「そ。あやかしだね。その名の通り、輝く泡を出すことがある。シシズクに巣を作る、典型的な生物ってところかな」  「キノスアラシは、アワヒカルを食べますよね?」  「詳しいね。もしかして、キノスアラシの原因が、アワヒカルだと思っている?」  「はい。ここに来る前に、図書室で考えていたんです。キノスアラシの食事に変化があって、何かの栄養が不足しているんじゃないか、と」  「へえ。なかなか良い仮説だ」  なんだか難しい話だ。と、二人が話し合っている中、威凪刃は羨ましそうに見つめる。  「でもね、お嬢ちゃん。残念ながら、アワヒカルが原因ではないよ。実際、アワヒカルを与えたキノスアラシの個体と、そうでない個体を観察したけど、影響や変化はなかった」  「そうですか。その観察の仕方、教えていただくことは可能ですか?」
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