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「キノスアラシ、ですか」
「無理だと言うなら、これ以上、この件について君と話すことはない」
「そう、ですか……」
キノスアラシはたぬきに似たあやかしで、謎の凶暴化が進んでいる。この事はしばしば問題になっていた。この謎を解き明かせば、賞を授与されるほどの社会的貢献になるだろう。
しかし、か弱い香栗には、とてもこなせる課題ではない。そのことは香栗自身が理解していた。
それでも……。
「わかりました」
「わかった、だと? まさか」
「調べてきます」
死ぬつもりか。と、我瑠楽が口にしようとしたその時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「話は聞かせてもらった!!」
振り返る香栗。扉付近には、ポニーテールにした黒髪の少女が立っていた。腰には剣と思われる武器が差してある。黒髪の少女は、香栗と同じくらいの年齢に見える。少女は凜とした表情で、ずかずかと部屋に足を踏み入れた。
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