第五話

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 昆虫類のアワヒカルが出した白い物質。それを与えたキノスアラシの個体と、そうでない個体を観察することを、香栗は我瑠楽や、夜栄に勧めた。キノスアラシが、アワヒカルを捕食する際に、白い物質も摂取している可能性があると考えたからだ。  調べると、アワヒカルの出す白い物質は、シシズクに住むアワヒカル特有のものだとすぐわかった。そしてシシズクは伐採の影響で数を減らしている。だとしたら、シシズクに住むアワヒカルが出す白い物質も数を減らしているはずだ。この推測は、香栗の仮説を強固なものにした。  実際に観察を始めると、結果は一目瞭然。白い物質を摂取しないキノスアラシは凶暴性が増していた。このことから、キノスアラシは元々、凶暴なあやかしではないかという説も生んだ。  いずれにしても、香栗は、キノスアラシの凶暴化の要因を突き止めたのだ。
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