第一話

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 「あなたは……?」  「君は誰かな?」  「先ほどから、黙って聞いていれば」  拳に力がこもっているのが二人にはわかった。どうやら怒っているようだ。  「盗み聞きか。行儀が悪いな」  と、我瑠楽が笑うと、少女も笑みを浮かべる。  「約束は守れよ、学者」  「なんだと?」  少女は我瑠楽に指差すと、声を張り、宣言する。  「必ず、私たちが、その凶暴化しているあやかしの謎を紐解いてやろうではないか!」  「わたし、たち……?」  香栗がつぶやく。すると、少女は、香栗に視線を移し、微笑む。それから香栗の両手を取る。  「好きです!」  「へぇっ!?」  赤面する香栗。その表情を見た少女もほんのりと顔を赤くした。  「申し訳ありません。つい本音が」  「え、あの」  本音ではあるのか。香栗の動揺は収まらない。  「ご安心ください、香栗様。どのようなあやかしが出ようとも、この威凪刃(いなば)が剣となり盾となり、必ずあなたをお守りします」
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