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「あなたは……?」
「君は誰かな?」
「先ほどから、黙って聞いていれば」
拳に力がこもっているのが二人にはわかった。どうやら怒っているようだ。
「盗み聞きか。行儀が悪いな」
と、我瑠楽が笑うと、少女も笑みを浮かべる。
「約束は守れよ、学者」
「なんだと?」
少女は我瑠楽に指差すと、声を張り、宣言する。
「必ず、私たちが、その凶暴化しているあやかしの謎を紐解いてやろうではないか!」
「わたし、たち……?」
香栗がつぶやく。すると、少女は、香栗に視線を移し、微笑む。それから香栗の両手を取る。
「好きです!」
「へぇっ!?」
赤面する香栗。その表情を見た少女もほんのりと顔を赤くした。
「申し訳ありません。つい本音が」
「え、あの」
本音ではあるのか。香栗の動揺は収まらない。
「ご安心ください、香栗様。どのようなあやかしが出ようとも、この威凪刃が剣となり盾となり、必ずあなたをお守りします」
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