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出て行け。冷たく追い返された香栗と威凪刃は、思染学園の食堂へと移動していた。食堂のほとんどは木製で、ほんのりとオレンジ色の照明があちこちに吊されている。
香栗は麦茶をちびちび飲み、対照的に威凪刃はステーキと大盛りのピラフに食らいついていた。味はかなり気に入ったようだ。嬉しそうに食べる。
「えっと。威凪刃、さん?」
「私に、さん付けなど不要です。香栗様」
香栗は戸惑う。自身を様付けで呼ぶ少女に、覚えがない。更に先ほど口にしていた言葉。どういう意味だろうか。
「威凪刃は、どういった経緯で私のことを知ったの?」
香栗の言葉に、威凪刃は喉を詰まらせる。苦しむ威凪刃に、香栗は手に持っていた麦茶を渡すが、威凪刃は手で拒否した。ごくり、と音が鳴る。
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