プロローグ

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そこに鉢合わせしたご近所の皆様。 ご挨拶なんぞをしていると急に足元に魔法陣が出現して、あっという間に異世界への旅になったわけです。 こんな理不尽ってある? 我が新手川2丁目の住民同士が朝の爽やか挨拶をしていただけで、みんなで異世界行きになるってどういうことよ! そうなんですよ、私一人が被害に遭ったのではなく6人ですよ、6人。 現実世界ではどんな大問題になって報道されてるんだろう、想像すると怖い。 だって朝っぱらから突如として同じ町内の人間6人が消え失せたのよ? 警察の捜査でも何の情報もなく、家族がどれほど悲しんでいるかと思うと胸が痛い。 ・・・・・・いや、待って。 住民行方不明事件の捜査で少しでも証拠になるものを見つけようと、私の部屋にも捜索に入ったんじゃなかろうな。 いやああああああ!!一晩中描いていた原稿———!! デジタル保存とはいえ、思いつくままにラフ画を何枚も紙に描いてるし———!! PCの中にも事件解明のヒントがあるかもしれないと押収され解析されようものなら、とんでもない量のBL原稿がああああああ!! あああ・・・警察の皆様、そういうものを発見したとて事件性は一切ないので絶対に家族には見せないでください。 被害者の1人からの切実なる嘆願でございます。 やばい、状況説明をしようと試みただけで自分にクリティカルヒットのダメージが入ると思わなかったわ。 人生、油断も隙もあったもんじゃない。
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