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「ミナトレス将軍の進退は一兵卒が決めてよいものではないでしょう。力が衰えたかどうかは、あなた方ではなく将軍自らが証明していかなくてはいけません」
それなら大丈夫そうよね。
もしかするとあの牛将軍に挑もうとする無謀で頭の悪い兵が出てくるかもしれないけれど、遠慮なく叩きのめしちゃえばいいのよ。
下剋上上等、力がある者が上に立つ、そんな気風はそう簡単に改善されるものじゃあないでしょうしね。
私が牛将軍に代わって不信感のある兵にわからせてやる発言をしたので、パルマさんが不思議そうな顔をしております。
「アマネはミナトレス将軍が退位することを要求する気はないのだな」
そう、私はあの牛が退位することは望んではおりません。
要望の1つとして挙げる権利はあるだろうけれど、そんなことをして魔王国に混乱を招くような真似をする気はないし、何の益にも繋がらない。
百歩譲ってパルマさんが将軍になるのも悪くはないかもしれないけれど、たぶん副将軍だからこそパルマさんは陛下に付き従って動けていたと思うのよ。
将軍になったら陛下の留守を守り辺境での魔獣退治なんてものに精を出さなくちゃならなくなって、なかなか会えなくなるじゃないの。
そこはあの牛にずっとお願いしていきたいもんです。
それも含めて。
「陛下。明日、将軍閣下とお会いしたいです。それと、将軍のご家族も呼んでいただけますか」
「ほう。家族とな」
私のお願いに、陛下が目を細めました。
あ、なんか面白がってる。
そうね、おそらくまた私が何かやらかそうとしていると思っているんでしょう。
やらかしますとも、だって私は決闘の勝者。
しかももうすぐ魔王国を去る身です。
やり残しがないようにしとかないとね。
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