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それでもMは、
絵本の中の、独りの世界 …
… きらきらきらぁ ~
… きらきらきらぁ ~
… きらきらきらぁ ~
もうここでは、キョロキョロ!な!
そう …
だってここにはイッパイ !!
キラキラな、イ!チ!ゴ!達!
が、あっちこっちに !!
… だからMの鼻先から
入ってくるその子たちの
甘ぁ~い香り !!
だから!
そんな頭の中が!
そんなイチゴ達に!
占領され !!
イッパイ で !!
いま!
このひとが自分の傍にいなかったら?
ゼッタイに、上手くできないけれど、
ヒールは汚れまくりでも!
きっと、このビニールハウスの中で!
スキップ !! してる …
ここは、三浦半島、
小高い山の上の観光農園。
三浦半島は海の幸だけではなく、
大根、みかん、等、野菜もで …
… 訪れる人も多い、けれど、
実は「 いちご狩り 」もできる。
それを、
Mは知らなかったが、
ここの駐車場には、バスも入れる?
みたいだから、知られている事?
なのかもしれない。
それでも、
このひとが知っていたのはやっぱり、
意外。
でも … このひとは、
城ケ島にはよく来る。
東京からここまでくれば、気分は、
ずいぶんと変わるし …
だから気分を変えるために、
一人でも、よく来る。
その途中に、
観光農園があるのも知っていて、
今日、ここに来たのは、
やはりMのタメ。
Mはきっと、城ケ島での磯遊び …
よりも「 苺 」だろうと考え …
… 無
「・・・・」
今日は、Mの気分を変えるタメに、
来たのだから「 しょうがない 」。
本当は …
城ケ島の方ならば、
岩場では、吹き付ける海風と、
打ち寄せる波に、
たぶん、Mは?
怖がり、
それに、岩場だし …
きっと、Mは、
ドンクサく、歩くのにも、
必死で?
なら?自分にしがみついてくる?
だろうから?
… 無
「・・・・」
このひととしては、
楽しかった、前回の、
横浜中華街の人混みの中での
あの時と同じように、
スマートに助けるふりをして!
Mを何度も 抱きしめられる
チャンスになるのだから?
だから!
磯遊びの方が良いのだが …
… 無
「・・・・」
今日は、
Mのストレス発散を目的にしている
のだから「 しようがない 」。
… ボソっ
「 … しようがない … 」
このひとは、妥協した。
それでも、二人は楽しかった …
そのひととM、の「 二人 」は、
初めて、楽しそうな「 一緒の姿 」を、
お互いの、スマホに、残した。
… カシャ
… パシャ
そのあとだって …
ここの決められた時間の中で、
Mは不器用でも、まだ欲張り?
真剣に、慎重に、
そっと、イチゴを摘まんでみる。
… きゃ !! とれたぁ ?!
… わくわく
「 うっ … れしぃ ~ !! 」
… ニコㇼ
「 … ふっ 」
このひとは、そんな …
子供の様な無邪気に
喜ぶMをみつめて、癒される …
せっかくの苺を食べなかったけど …
ビニールハウス内では、
Mの後ろにピッタリとついて離れない。
自分は、腕を後ろに組み、
苺には最後まで、手を伸ばさなかった。
そうして … このひとは、ただ、
Mに寄り添い、
Mを見守りながら楽しんでいる。
それは …
まぁ … 「 動物園 」で?
お目当ての、自分の好きな
「 動物 」の前で?
いつまでも、そこから動かずに、
眺めてしまったりするのと一緒で …
このひとは、
Mが、驚いたり、喜んだり、
楽しんでいるところを見て、
癒され、それを楽しんでいる。
だから、このひとは、
Mに話しかける事もなく、
邪魔もせずにMの好き勝手にさせて、
自分は苺を食べなくても、
この時間を共に十分に楽しんでいた。
Mだから、このひとを、
癒して、あげられる …
だからもしも、Mが、
こんな …
このひとの気持ちを、
分かっていたなら、
… 後日 …
cameraの前で、
他の男性と、
あんな事はしなかった?…
かもしれない …
そうして …
こんな楽しい時間に終わりが来る。
利き手の左手に、
全神経を集中させて、
イチゴの採り方をやっと覚え、
頭を左右に振りながら、
分かりやすく、
ワクワク気分を
出しまくっている
Mに向かって、
そのひとは、
思い出したように、
重くなりすぎないように、
サラッと謂った。
… ボソッ
「 おい …
気分はかえられたのか?」
… キョトン
「 … はい? 」
… ジィ~
… キリっ!
「 おまえ
仕事中なのに
cameraを
気にし過ぎだぞ … 」
…?
「 … え? そうですか?
あ!の … でも … 」
… え?そ?れ?
… ドキドキ!
… ギロ ㇼ!
『 … いいから! まずは!
あそこでの仕事を覚えろ … 』
… ビクっ !
… しゅん
「 … はい 」
… そう
だったんですね …
Mはそのひとと、
向かい合ってた、けど、その顔を …
上げられない。
… いま … きっと恐い顔になってる …
そのひとの大きくて広い胸の前で、
イチゴを咥えたままシュンとする。
口の中は、甘酸っぱくて、
幸せ気分だったのに、
急に? 耳から入ってきた …
… 現 実 …
ビニールハウスの中なのに、
イチゴたちの前なのに、
「上司」から、当たり前の事を
謂われたことに、
Mは情けない気持ちだった。
… 新しい仕事にかわったのだから …
確かに先ずは「仕事を覚える」こと、
だった …
… Mは、
急に、大人の自分に戻された。
だから大人しくなり、
ビジネススーツに、
似合う所作をする。
… いちご狩りを終え、
Mはビニールハウスから出ると、
ベンチに座り、ヒールに、
着いた土を落として、ユックリ
立ち上がろうとした …
でも … その、瞬間 …
そのひとは、
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