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いつの間にか、
Mの前に立ち塞がっていた、
そのひとはそのまま、
… パさっ !!
Mの背中とひざ裏に腕を回して、
引き寄せながら抱き上げる。
… ぐらっ
… ビクっ
「 キャッ!」
… 無
「・・・・」
そのひとは、表情を変えずに、
そんな事もサラッとしてしまう。
でも … この時、Mには?
Sの事が、一瞬、頭の中に出てくる …
この会社は、男優位で。
それは、
男たちが「男っぽい」を
魅せる、と、いうことで。
Mの周りには、強い男たちが居る。
―
このひとに …
邪魔をされ …
Mだけを …
関東に戻されるから …
だから、
離れたくはなくて、
備品庫に閉じ込めた、
そんなMを、
やはり、
そのままにはできず …
そのとき、
気を失わせてしまったMを
抱きかかえたまま車まで …
SもMを歩かせなかった。
―
でもいまは、
Mは、そのひとに抱かれ
そのひとをみつめたまま、
で、だから、
… 纏わりついてきて覆われる …
そのひとの、強いムスクの香り、
に、負けて …
だからスグに、Sの事を頭の中から
消してしまう。
それでも、抱きあげられたMは、
そのひとが「 恐い上司だから 」
それには戸惑いキョトンとして …
でも、
表情を変えないそのひとに安心し、
て? Mも無言のまま、
それでも、落とされない様にと?
自分の両腕をそのひとの首に回し、
… 恥ずかしいから …
そのひとの首筋に額を寄せて …
隠れた。
なので、
ムスクの香りとそのひとの肌の温もり
が、
いまは強くMには感じられ、
ゆっくりと開いたMのまなざしのすぐ、
先には?
そのひとの大きな喉仏が、
「男」をアピールしている。
そのひとは、
Mの額が自分の首筋のあたるように、
ちょうど良い角度で顎をあげ、
それでも?表情は変わらない。
険しくもなく、穏やかそうでもなく、
無表情で …
だからいま、
どんな気分なのかも分かりづらい。
それでも、
Mの額がそのひとの首筋にあたって
いるのだから、Mのその貌は?
そのひとの顎の下に隠れ …
Mの貌は、他の人からは
見えなくなるし …
そんなそのひとの肌の温もりと、
ここでだって強いムスクの香りの中に
いる、Mからは周りは見えなくなる …
いまMは、そのひとだけのモノになる。
そのひとも、それに満足する。
見事な大きいキャベツたちが目を引く、
緑多い畑をバックに、そのひとは、M
を、車まで運び、
助手席にそっと座らせた。
ここの土がつくから …
… それを残さないように
歩かせなかった …
ここは小高い山の斜面いっぱいに畑が
広がる、海まで見渡せる眺望も良い、
そんな、田園風景の中、
ビジネススーツに身を包んだ二人が、
こんな、派手なことをしたら、
かなり目立つが、
今日は平日で、あまり人が多くなく、
それに …
この二人は、
細身の長身で手足が長く、
スタイリッシュで、容姿が美しく …
だから、実は、こんな事が、とても、
「 様になってしまう 」ので、
なんだか、
嫌味なく?そのまま …
どこか離れたところから
引きで撮影中の?
映画のワンシーンの様に?
なって、しまう …
だから …
そんな感じを大事に?
そのひとは、
もうなにもMに話しかけない。
… 黙ったまま、車のエンジンをかけ、
静かに、ここから離れた。
…『 ヒュゥ------ン 』…
…『 ヴォ-----ン 』…
… この日の帰り道は、往きと違って
渋滞に巻き込まれたので、すっかり
暗くなってしまっていたけど …
いつもの、仕事日の帰宅時間と、
さほど、変わらない時間に、
Mの自宅前までそのひとはちゃんと
送り届けた。
… カチャ
… ペコリ
「 お疲れ様でございました 」
… 穏
「 あぁ ~ 」
… パタン
… ペコㇼ
「・・・・」
…『 ヒュゥ-ン 』…
…『 ヴォ-----ン 』…
いちご狩りに単純に喜び、
お腹の中も、頭の中も、
イチゴ、だけだったのに …
急に、上司の貌の、
そのひとに諭されたMは、
一瞬で気分が下がったが、
それでも、その後に、
お姫様抱っこをされて、
また、
甘やかされて?しまうと …
まぁ … 素直に?
云われたことも、聞き入れられる。
Mは、単純なので …
それに、自宅までの時間、
会話もなくて …
だから? …
まだ、諭されたことが頭に残り、
Mはお姫様抱っこと、それで、
恥ずかしい気持ちから、
…カツカツカツ
そそくさと家に帰ろうとすると …
… チらㇼ
「 … あれ?また? …
あの車? … 」
このところ、Mの家の前には、同じ、
白いセダンが一台停まっている …
… カツカツ
… キョトン
「 なんで … 」
…カツカツカツ
それでもMはこのときも、
何も確かめずに、
そのまま家へ入って行った。
けれどこの車は、ここでジッとして、
いた訳でもなく?
この日はあそこにだって …
…pipipi
この車の人はそれほど先輩想い?で
そこにまでだって実は動いてて …
だから、
それをちゃんと先輩に報告してる …
…『 ヒュゥ-ン 』…
…『 ヴォ-----ン 』…
なのに?
… そのひとは、Mを降ろすと、
そこには目がいかずに?
すぐに本社へ戻った。
今朝は、NRと、ホワイトボードには
記しても、今日中にやらなければなら
ない仕事を片付けるタメに。
… 本気で好きなヤツとは、
少し、距離があった方が、
うまく、いくんだ、ぞ …
cameraの事?の、言い訳には?
そのひとは、Mに、
自分の気持ち?を、
伝えない。
それに、戻った …
営業本部には、まだ残って仕事を
続けている者たちもいる。
… そのひとは、仕事も大事に …
それでも、強いそのひとのまま、
自分の椅子には遠慮なく、
ドカッ! と、座ると、
周りには何も伝えずに仕事を始めた。
… ペコリ!
「 あっ、本部長!
お疲れ様でございます 」
なので、
近くの社員が声をかける。
… 静
「 あぁ … 」
そのひとは、無表情のまま、
表情を変えない。
このときには …
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