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僕たちは、街を出て公園や身分証明のいらない宿泊施設を転々して過ごした。
彼女と過ごす時間は本当に楽しくて幸せだった。
サチも、今まで無いくらいに笑顔を見せてくれた。
しかし、僕たちのこの逃亡劇は、2週間ほどで終わりを告げる事になる。
僕が公園で顔を洗っている時、警察官に声を掛けられたのを合図に。
すぐに、捜索願いが出されている事が分かり、僕と彼女は警察署まで同行を余儀なくなれた。
お互いに別々の部屋で話しを聞くとの事で、サチとは「また後で必ず会おう」とだけ約束して別れた。
ここでまた怒りが溢れた事があった。
捜索願いは僕に出されたモノだけで、サチに捜索願いは出されて居なかった。
もう涙が出そうになった。
このまま。
このままサチを家に帰しては絶対にいけない。
「すみません。彼女の事でお話ししなければいけない事があります。」
僕は、全力で彼女が虐待にあっていた事実を警察官に訴えた。
念のため撮影したケガの写真や深夜、家を追われていた事も。全て。
結局、その後僕たちは別々に家に帰される事になった。
サチともそれっきり会う事は叶わなかった。
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