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初めて
初めてのこの日、次郎左衛門は登楼して朝早くに横山馬喰町の宿に帰り、小作人頭に言った。
「路銀はいくら残っておるか?」
小作人頭が懐の包みを開き数えて居た。
「二十両はありまする」
次郎左衛門はその二十両から宿に五両を渡し三両を小作人頭渡して言った。
「お前は先に佐野に帰れ、俺はこのまま江戸に残る・・なぁにぃ心配は要らぬ、もう少し江戸見物とすればお前は先に帰り親父殿に上手く言っておけ」
小作人頭が思った。
「こりゃ花魁に気が行っているんだろうて!」
小作人頭が次郎左衛門に言った。
「若旦那・・余り気を入れてはいけませぬ、あれらは全て狸と変わらぬ妖成れば決して若旦那には・・」
小作人頭の言葉も次郎左衛門には届いておらなんだ!
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