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「ざまあねえや」
男は燃えさかる家屋を見つめながらつぶやいた。病院着のような格好に醜悪なにやけ顔をした男だった。
「ふたり亡くなったみたいよ」
ふたり——。さてはあの看護師もいっしょだったか。まあいい。あいつがもたもたしていたからこうなったんだ。ひとりでもふたりでも、あの男さえ死んでしまえばそれでいい。
そう思いなおした男はそろそろとその場をあとにした。
海に面した漁師町で一軒家が燃える火事が起こった。
焼け跡からは男女の遺体が見つかった。
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