1人が本棚に入れています
本棚に追加
私の名前は「桜庭唯」公立高校に通う、どこにでもいる普通の高校一年生だ。
いや、だった——。
今から10ヶ月程前のある冬の日、雨が降り出したことで寒さが一層厳しくなった。
私は学校からの帰り道の途中で、1匹の白い猫と出会った。
その猫は段ボールに入って「貰ってください」と紙に書かれたメッセージが添えられていた。
雨除けのつもりなのか、木の下に雑に置かれていた。
「アニメとかで出てくるシーンだと思ってたのに、本当にあるんだね」
その猫に手を差し出すと、ゴロゴロと顔をすり寄せて甘えてきた。良く見ると綺麗な青い目をしている。
「こんな小さい子を捨てるなんて、どうゆー神経してんだよ」
両手に収まりそうなくらい小さな子猫は、寒さに震えていた。
可哀想にこんなに震えて……。
私は自分の首に巻いていたマフラーを外し、そのまま包んで両手に抱いて家に連れて帰ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!