青い目の白い猫

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私の名前は「桜庭唯(さくらばゆい)」公立高校に通う、どこにでもいる普通の高校一年生だ。 いや、だった——。 今から10ヶ月程前のある冬の日、雨が降り出したことで寒さが一層厳しくなった。 私は学校からの帰り道の途中で、1匹の白い猫と出会った。 その猫は段ボールに入って「貰ってください」と紙に書かれたメッセージが添えられていた。 雨除けのつもりなのか、木の下に雑に置かれていた。 「アニメとかで出てくるシーンだと思ってたのに、本当にあるんだね」 その猫に手を差し出すと、ゴロゴロと顔をすり寄せて甘えてきた。良く見ると綺麗な青い目をしている。 「こんな小さい子を捨てるなんて、どうゆー神経してんだよ」 両手に収まりそうなくらい小さな子猫は、寒さに震えていた。 可哀想にこんなに震えて……。 私は自分の首に巻いていたマフラーを外し、そのまま包んで両手に抱いて家に連れて帰ることにした。
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