エピローグ

2/5
前へ
/217ページ
次へ
 あっという間に3ヶ月が過ぎた。  王国西方を領土とする四大公爵の一角、シグムンド・アンダンテによる王都転覆に向けた策動と領民の大量殺戮未遂は、王国中を揺るがす大事件となり、アンダンテ家は失脚した。  私もシグルズ様ももう、公爵家の人間ではなくなった。そう思っていたけれど……。 「お嬢様、全くエレガントでありません。  もう竜である必要はないのですから、人間の令嬢としての振る舞いを習得してください」 「坊ちゃま、スピーチ中に紅茶を飲むわけにはいきませんよ。緊張に慣れてくださらないと」  私達は、復権したフィルロード公爵家の一員として、私とシグルズ様の、やり直し結婚披露パーティー準備に大わらわだ。  マナー教育や歴史教育、スピーチの練習が続き、私もシグルズ様も疲弊していた。 「逃げましょう」 「逃げますか」  私は、シグルズ様と同意すると、 「竜の翼(ドラゴン・ウイング)!  背中に乗ってください、シグルズ様」  私は、シグルズ様を乗せて公爵邸の庭から飛び立った。  次の瞬間、背中にちくりとする痛みが走る。  えっ……?
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加