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急激に力が抜けて翼が消え、落下する。
「いやあああああああっ」
シグルズ様とともに地面に叩きつけられそうになる瞬間、
「結局、ケモノですね」
「坊ちゃまも同罪です。これはこれで良いことかもしれませんが」
私はアムリタに、シグルズ様はミーミルにキャッチされた。
口は悪いが気の利く侍女アムリタと、話は長いが足の速い執事ミーミルに受け止められる。
「アムリタ、私、身体が動かないけれど……」
「大型獣用の麻酔薬を注入した麻酔針を撃ち込みましたので、しばらく動けないでしょう」
「ミーミル、まさか僕にも……」
「アムリタは、吹き矢を2発放ちましたよ。
闇の力を内包する坊ちゃまですから、獣用でも耐えられるのではないでしょうか。
これは……良く」
「良くないです」
シグルズ様がミーミルの言葉を継いだ。
シグムンドの黒竜を倒した直後も、落下する私を受け止めてくれたのはアムリタだった。
「アムリタ、ありがとう」
「気が触れたのですか?
ケモノお嬢様。
昼食後は、マナー教育の続きですよ」
「分かったけど、ちょっと休憩させて」
「なぜですか?」
「私、シグルズ様とゆっくりお話したい」
「なるほど。情事のためなら時間を用意しましょう。ミーミルも良いですか?」
「もちろんです。それは良いことです」
何でも良いから、シグルズ様と2人きりになれる時間が欲しい。
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