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私は、シグルズ様の部屋を訪れた。
シグルズ様と2人きりになると、アムリタ達がいるときより自然な自分を出せなかったりする。
なぜだろう。それはたぶん……。
「何からお話すれば良いのでしょう。
色々なことが起きすぎて、ありすぎて。
でもずっとシグルズ様と話したかったです」
気になっていることがあるからだ。
「僕もずっと、アナンタとゆっくり話をしたかった。矢のように色々と事が飛び回りましたから」
一番気になっていることを訊くのは怖くて仕方ない。でも、訊かなければ前に進めない。
「訊きたかったことがあります」
単刀直入に切り出した。
それが私だから。
「決戦の前、竜族の里を訪れた私は自分の出生の秘密を知りました。
私は、人間ではなかったのです。
竜族のように人間に竜の魂が宿った者でもない、本当に竜として生まれてきたのです」
「はい」
「私は、2度もシグルズ様を騙しました。1度目は、シェーシャの身代わりとして、今度は竜です。
こんな正体を隠してばかりいる私を、シグルズ様はどう思っているのですか?」
訊きながら、目に涙が溢れていた。
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