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夜中に
なにしろ2月だ、日付が変わったばかりの深夜は肌寒い。
分厚いコートを着せてもらっても、鼻から入る空気は冷たく、頬がなんだかかさかさする。
ましてや、先ほどまで温かい布団にくるまって、夢のなかにいたのだから、なんだって気持ちのよいところをたたき起こされなければならなかったんだか、よく思い出せない。
ぞくっとする背中を一度ぶるっと奮い立たせて、先を歩く両親に続いた。
蒼子と妹の紅子は、両親に続いて暗い森のなかを歩いた。街灯はほとんどない。
さほど行かないうちに森は開け、広大に続く茶畑のなかに出た。
丘の下までずっと続く背の低いお茶の丸く刈り取られた木々が、ロールケーキのようにずっとつながり、その上には果てしない薄もやの暗い空が続くばかりであった。
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